Daryl Beach

数字はコミュニケーションを円滑にし、相互理解を深めるために用いる。(1)名称name(2)順序 order(3)間隔interval (4)割合ratio を数字で表現すると大変便利である。

数字を使用する事により対象を理解したり、評価したり、判断する事が日常語を使用するよりはるかに正確に行える。各地域で使用される日常語では限界がある。

数字は他の言語より中立的であり、より客観的である。決定や行為が人々に多大な影響を及ぼす立場にある人にとって、客観的に表現する言語が必要である。

どんな母国語(英語、フランス語、中国語、ドイツ語、日本語)でも、人々の健康に関する専門用語に用いてはならない。健康管理に携わる者と患者とのコミュニケーション、健康管理に携わる者同士でも、研究者の間でも、また教授と学生の間でも、また母国語が異なる人の間は尚更のこと母国語ではコミュニケーションは正確に伝わらない。

例えば,「ma11」という表現は「Maxillary right central incisor」という表現に代わるものだが、母国語の英語では文字のスペースとして31のスペースを必要とする。これを数字で表せば、合図の為の信号「ma」を加えても4つのスペースで済む。

0と1の不変の概念を土台に、順序よく並べられた十進法を歯牙の名称にすれば存在する歯牙が正確に分かり、数字の持つこの能力を考慮するならば、mandibular left molar 等という形で未だに記憶する学生は、コミュニケーションの技術においても、また物事を判断する能力においても、ハンディキャップを負っていると言える。
何故ならば、彼の頭脳はこれらの言葉を思考の過程で(注:合理的に順序づけられたものとしてでなく、その場その場で)選択するものとして処理している筈だからである。

健康の問題に関与する専門家の資格を決めるのは諸々の専門用語、例えば近心頬側、口腔前庭、髄角、抜歯、エキスカベータ、歯周靭帯等を記憶しているかどうかではないという事を真剣に考慮すべきである。

これら従来の専門用語は、科学的理論づけを行う場合や、他の人とコミュニケーションを効果的に行う場合に障害になっていると、この際提言したい。

次ページ>
Health Care Information Manual 目次に戻る