タイムポイント

IACTファクターで規定された(≒熟練した)術者が、所定の正確さで1分間に完成できるある手順の一部、及び準備に対して与えられた仕事量の単位を1タイムポイントといいます。

各診療手順に対して、それぞれ標準所要時間を基にした標準のタイムポイントが設定されています。
例えば、咬合面1面の充填の標準所要時間は5分ですが、仕事量も5ポイントと算定されます。

又、一人の患者に対し毎回5分の出会いの為の時間(ヒューマンエンカウンター human encounter)が与えられます。
タイムポイントは、
①診療計画における時間の見積り、診療活動の時間 管理及び活動量の評価
②費用便益分析、コストリスク分析
などに用いる事が出来ます。

IACTファクター
治療に必要な4つの要素 Indication(適応), Accuracy(正確さ), Control(コントロール), Time(時間)を略して表現したもの。
IQQファクター(Indication、Quality治療の質、Quantity治療の量)とほぼ同義であるが、所定のIQQを達成するための前提条件-最小限の肉体的ストレスで正確さを得るためのコントロール条件が加えられています。

術者のコントロールが上達すると、時間は減り、正確さは向上するのです。時間をかければかけるほど正確な結果になるのではありません。また、治療の適応についても一定の基準に則って行われることが大切です。


Q.各治療手順に所定のタイムポイントが定められているのですが、それはどの程度重要なのでしょうか。

A.タイムポイントの意義は、それが自分にとってどういうメリットがあるかという個人に対する影響の面だけ考えれば、なかなか判りにくいと思いますが、診療所全体にどういう影響や効果があるかということを考えれば、はっきりしてくるでしょう。
診療所の中には先生ご自身の他に衛生士やもう一人の協同歯科医がいますし、受付員もいます。
診療所の医療チーム全体の管理や診療所全体としての時間の管理に、タイムポイントはどういう影響を及ぼすかという視点で考えて頂きたいと思います。


タイムポイントはアポイント制を効果的にする
アポイントメント・システムを日本に初めて紹介したのは私だったと思いますが、当時はこのシステムを部分的にのみ取り入れる先生がいらっしゃいました。部分的にしか取り入れないと、歯科医のストレスはかえって非常に高くなってしまうのです。
部分的導入とはどういうやり方かというと、細かい分刻みの単位ではアポイント・システムを実施し難いというので、9時の予約患者を4~6人位設けておき、10時の予約が、又4~6人という風に、何人かの患者を一つの時間に同時に割り当てるというやり方でした。そうすると、各患者の待ち時間は長くなりますし、歯科医にとっても複数患者の同時の対処はややこしくて面倒だということになりました。 次の折衷案は、予約をもう少し小刻みにして、15分単位、つまり9時、9時15分、9時30分という風にして患者を二人ずつ同じ時間に割り当てるという方法でした。これでも依然としてマネージメント上に問題がありますし、受付員にとってはスケジュール作成が非常にやりにくいのです。

このような経緯で、時間の管理をいかに改善すべきかという考慮から、タイムポイントが生まれたのです。各患者に対して出会い(エンカウンター)の挨拶も含めて、各治療手順の所要時間を標準化すると、各患者にどれだけの時間が必要かということは簡単に計算できます。受付員は、標準のタイムポイントさえ与えられていれば、計算によって5分刻みの正確なアポイントを作成することが出来ます。
9時、9時5分、10、15分というように、5分刻みに細かく時間を指定した方が、大ざっぱに9時とか10時に何人かを予約するよりも患者の側にも時間厳守の傾向がでてきます。又、受付員の対処もやり易くなります。例えば、リコールか何かで9時から9時15分迄に所要時間が文字通り5分でいい患者が3人続いているとします。この場合「9時に3人」予約するより、「9時、9時5分、9時10分と5分刻み」で時間を予約した方が効果的です。

時間の管理は受付員の責任
それともう一つ、先生方に是非理解して頂きたいポリシーがあります。これも個人でなく診療所全体の管理という面から必要だと思うのですが、「スケジュール作成については受付員が 100%責任を持って決める」ということです。歯科医は一切口出ししないというポリシーを是非お奨めしたいのです。実際はこれがなかなか守られていないと聞いています。 新しい受付員を雇用する場合も、診療所全体として各患者との出会い・挨拶に何ポイント、各治療手順に何ポイントと標準のタイムポイントが定まっていると、それに則って簡単にスケジュール作成が出来ますが、時に歯科医が口出しをして例外を作ると、受付員にとってスケジュール作成は、非常にストレスの高い作業になってしまいます。そして、歯科医にとって自分で時間の事を気にしながら治療しなければならず、ストレスの原因になります。

タイムポイントは、1分単位(1ポイント=1分)と決められています。こう聞くと何だか窮屈な感じがするかも知れませんが、事実は全くその逆で診療所として時間が管理されていると歯科医は所定の枠の中で治療に専念でき、時間の事を全く意識しないで済みます。

タイムポイントの具体的な導入の仕方については、色々ご質問があると思います。
例えば、治療の予定に従って時間が取ってあっても、治療中に窩洞が思ったより深くて根管治療が必要になった場合はどうするのかなど具体的な対処の方法ですが、治療内容の変更や時間の変更は、歯科医がわざわざ受付員にこういう風に変更してくれと口頭で指示しなくても、記録の中にそのような項目がありますので、ごく簡単に対処できます。
又、治療内容や時間の変更の頻度がデータとして出てくるので、その頻度が非常に高いと、何らかのマネージメント上の問題があることが判ります。
そういう意味でもタイムポイントは非常に有効です。

(1986年12月東京青山 OMU Par2ミーティング講演より)

主なタイムポイント

①エンカウンター 5(5ポイントと読む)
1患者毎に出会いの為の5を追加
② ta00    口腔診査
00 00 8 視診・触診8
   05 2 バイトウィング 2
③ ta53,54,55 充填
1面当り5
 16 5311 5 O 1面の充填
 14 5321 10 MO 2面 〃
 37 5332 15 OMV3面 〃
④ ta66   根管治療
1根管当り根管形成10
    〃 根管充填 5
    〃 即日根充15
1歯当り根充除去 10
⑤ ta7
1歯当り普通抜歯 3
   〃 難抜歯 20 (エントリー”ma11 7 5″参照)
⑥ ta57
1歯当りクラウン形成印象 30
   〃   〃  仮着   5
   〃   〃  合着  10
⑦ ta9
1床当りキャストパーシャルの形成印象15
   〃   〃   装 着 10

タイムポイント表

(表にないものは未設定。ma は略号として用いた。略号の意味は表下端の注の通り)
maの略号1単位あたりのタイムポイントを下記に示します。

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