SIインデックスでは、医療の究極の目標である健康-すなわち医療の必要性が全く無い状態Statusは、数字の0(ゼロ)によって表されています。

それと全く反対の状態が-1で、その間のインデックスも0に近づけば近づくほど、いわゆる侵襲度の少ない、手順の誤りであるとか、他に及ぼす影響(患者の健康回復あるいは所定の手順完了の為に要する資源等)が少なくて済む、より0に近い状態であることが示されます。
-1の概念は0と全く反対の極に位置するもので、完全に医療に依存していかなければ生存できないような、自分で自分の健康を管理できないような状態が続く、そういった状態を表します。

ここでお気づきのように、SIインデックスは+の値を持っているものがどれ一つありません。

全て0から-1迄マイナスの値になっている訳ですが、治療が必要であること自体、どの様な内容のものであってもマイナスの状態であるという意味で、これは広く捉えれば、人間の存在や存続 survival、安全 safety、健康 health に関する大きなインデックスの中の一部として存在するものであって、±0の状態を達成していく為に、インデックスを指標として活動が評価されなくてはなりません。

このようにSIインデックスは、医療供給者並びに患者に対し、予防・セルフケアやヘルスケアゼロ(HC-0)の目標を明示し、志向させるものであると言えます。

従って、0の概念に基づいた健康志向型の記録方式において、SIインデックスは情報格子によって規格化された口腔診査表の中で1つの情報軸を構成し、また治療コードの左端の重要な位置を占めており、医療情報を標準化するための鍵となるものです。 標準化によってその記録は地球規模での最適な医療へ向けての信頼性の高い情報を提供するパスポートとなるでしょう。

SIインデックス:Status Intervention Index ステイタス・インターベンション・インデックス あるいは ヘルス・アンド・ケア・インデックス ともいう。
ステイタス は人体や人体各部の健康状態、インターベンション はそれらに加えられる医療すなわち人為的介入を指す。

WHOによるSIインデックスの検討

この健康を志向した概念は、WHOもその価値を認め公式に承認したように、将来も変化しない恒久的な情報処理の基礎として、極めて重要です。
SIインデックスの検討がWHOにより行われた結果、このインデックスが医療の他の分野において広範囲に用いられる可能性が認識され、全般的な健康に関連するインデックスのカテゴリーが以下の様に定義されました。また、これらの見出しの各1桁の数字コードの後に数字を付加することによってこのインデックスを全ての医療分野に適用し得る事が確認されました。

リスク-ベネフィットの関係

前述のように0と-1との間は、状態により推測されるリスクの度合、及び医療に伴うリスクの度合-受益度の度合に応じて、-.0 から -.9 迄10項目に分類されています。

医療に伴うリスクと受益度の関係を分析するには、
①介入によりもたらされると推測される生涯に亙る価値と過誤の可能性
②介入時・介入後・非介入時-それぞれの場合の疼痛と不快感
③介入時・非介入時-それぞれの場合に必要とされる資源・労力、及び治癒機転
などの要素が考慮されるべきです。

これらはまた、実際に治療処方や治療計画を作成する場合にも考慮しなくてはならない重要な要素だと言えます。

上段はWHOによる全身的健康に関する概念、下段は口腔の健康に関する概念

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