地球という小さな惑星上で空間を共有する人類にとって好運なことに、人間はお互いの差異に比べてはるかに多くの共通項を持っています。

人間工学の分野に於いても、他の分野同様、人間の持つ共通項をまず最初に検討することが基礎となります。地球上の全ての人間が共有する共通項を明らかにして、初めて個人や集団の間の差異を明確にし、またその理由を把握することが出来るのです。

人間と重力の関係や、人間は休息時には仰臥し、作業する時には背筋を延ばした姿勢をとり、自分の体の位置は自分で決めるということなども、この共通項の中に入ります。

ヒューマン・パフォーマンス・アンド・インフォマティックス研究所（ＨＰＩ研究所）では、人間工学に関する事柄は、すべてあらゆる要素を包括する健康と医療のための０（ゼロ）の概念と呼ばれる基本理念に基づいて決定してきました。

人間の活動やコミュニケーションに於ける人間と環境の相互作用を研究する分野である人間工学に於いて、０の概念は、人間の姿勢や外界とのコンタクト、視覚、ポジション設定及びパフォーマンスに於ける自然な共通項を表現する基盤を提供するものであり、また情報の分類と医療に必要な学術専門用語の体系化の核となるものです。私達は、医療情報システムは、医療に大きな影響を及ぼす事になると信じています。

私達はまた、秩序立った医療システムと医療の鍵は、０の概念に基づいた健康志向型の記録方式と０の条件から演繹的に求めた医療の行為、インストルメント及びセッティング（環境）であると考えています。
（1987年5月 ADA ‘The Health of the Dental　Profession’ より抜粋）

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