2022pdp講演会
「『食』を変えれば『からだ』は変わる!」

アンケート(pdp2022講演会ご感想)に頂いた質問への回答です。

QA

Q1
心療内科の医師をしています。甘いもので栄養障害になっているので、止めるようにいうのですが、大半は控えるようにしていると言ってやめません。このような患者さんに、糖質ゼロは無理だと思うのですが、一方で糖質をとりながら、ココナッツオイルなどをとっても意味がないと思います。白土先生は認知症の方を沢山見られていると思います。認知症の方はほとんど甘いものが好きですし、高齢で唯一の楽しみだと言われるとやめてとは言いにくいです。先生はどうされていますか?

A1_1
聴講を頂きありがとうございます。
ご本人に生活改善の意志が全くない場合には、いくら熱弁しても難しいかと思います。
ただ、知っていてやらないことを本人が選択するのと、全く知らされていないのとでは、結果が同じではあっても意味が違うと思いますので、必ず伝えるようにはしています。
また、何か本人に症状が出たり近くの方が病気を発症した時にあらためて糖質が与える影響に言及すると、以前はスルーしていたのに関心をもってくることもあるので、しつこくならない程度に何回かアプローチを試みます。
高齢の方については、確かに長年の習慣を変えるのも難しいのも事実です。
一方で高齢の方が「家族の言うことは聞かないが医者の言うことには耳を傾ける」という傾向もあり、お昼の菓子パンをやめたという報告をしてくれる方もいます。All or nothingではなく、できる範囲でいい方向に寄せていくというのでも意味はあるかと思います。
いまを楽しむという視点と先を見据えて整えるというどちらを優先するかは、本人・家族と相談して決めるでよいかと思います。[白土]

A1_2
歯科臨床の経験から
先ずは、その方が、どのような食生活をしているのかを把握することは必要かと思います。何しろ炭水化物を食べ過ぎている方が多いです。
歯ブラシ指導の際に、患者に食生活について質問をする事がよくあります。特に、間食についての質問が多いのですが、子供に「おやつでは、何が一番好き?」と聞くとほとんどの子が「グミとチョコレート!」と答えます。「ジュースやシュワッとした(多分炭酸)ドリンク!」というのも子供に限らず、若い方にも多いです。
特に若い女性に、チョレート依存症が案外多いと感じています。中にはチョコレートは高価なので300~400gが入っている徳用袋を毎日1袋以上は食べている方も。その1人は皮膚科に通院中ですが、食べ物についての指導は無いと聞いています。
大人は、殆どの方が「いや~甘いのはあまり食べない様にしてるんですよ~」と。しかし、ちょっと踏み込んで尋ねると「甘いものは嫌い、でもお煎餅や塩味のスナックは大好き!」とか、男性の方なら「酒呑だから、甘いものはね~」と言いながら毎日ビールと日本酒は欠かさない…などなど。
又、暮らしが豊かになったからか、孫を世話している年寄りから「孫が喜ぶから、お菓子やジュースは買い置きして切らさない様にしている」「飴をやると泣き止むんだよ!」「お爺ちゃん、おばあちゃんが喜ぶから大好きな甘い物をいつも用意している」とか…。急にう蝕が増えてしまった高齢者の男性は、風邪を拗らせて咳が続きのど飴を四六時中口に咥えている習慣がついてしまっていました。この方は1日に一袋は軽く舐める様になってしまっていて最近認知症と診断されました。
のど飴の愛用者は潜在的にとても多いと思います。「なるべくキシリトールののど飴にしてくださいね!」と勧めますが、キシリトールの飴は美味しくないのだとか。
以前よりは、改善されてきているとは思いますが、本人以外の家族が「糖質三昧の環境」を作っている可能性も多分にあるのでは無いかと思います。
本人の気づきと努力も必要ですが、周囲の理解と協力も重要だと思います。[塙]

Q2
糖尿病患者がケトジェニックに取り組む場合に注意すべきことは?

A2
糖尿病の方こそケトジェニックに取り組んで頂きたい方ですが、
糖尿病の薬をすでに飲んでいる場合には、厳密な糖質制限をすることで、薬剤による低血糖のリスクがあります。
段階的に糖質制限をしながら、主治医と相談して減薬をはかることでしょうか。
(主治医が糖質制限に理解がなければ難しいのですが)[白土]

Q3
プロテインを摂ることによって、腎臓、肝臓に負担はないのか?

A3
肝機能・腎機能に既に問題があると診断されている場合は、個別に医師にご相談ください。
そうでないのであれば、特にプロテインを摂ることが肝腎に有害であるという情報は、聞いたことがありません。
あくまでタンパク質の一種なので、食事でどのくらい摂れているのかも考えて総合的なタンパク量で判断するとよいと思います。(体重1kgあたりタンパク1gが最低量)[白土]

Q4
牛乳の功罪を最近よく聞くようになりました。実際は、どうなのでしょうか?

A4
グルテンが遅延型アレルギーで腸や脳に炎症を起こすという同様の機序が、牛乳のカゼインでもあると言われています。
自費で遅延型アレルギー検査を行うか(3万円ほどかかります)、一定期間牛乳をとらない生活をしてみて、体調変化を見るのも一つだと思います。[白土]